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インテンシオ?

 久々にバレエを見に行った。今人気のダニール・シムキン(アメリカンバレエシアター)の座長公演のガラ。彼主演の「くるみ割り人形」は見逃したので、連休の中日、雨だったがゆうぽとに行ってきた。

 「インテンシオ」って何?と思ってプログラムを見ると、インテンション(意図)とインテンス(強烈な)とをかけあわせた造語とのことで、彼の願いや力の入れ方が伝わってくる。公演の構成も現代的でスマートで、古風な例の赤い幕をほとんど使わず、美しい映像と光と紗幕をうまく使ってバレエを引き立てていた。

 忙しさにかまけて、出演者や踊りの演目すら知らずに見に行ったが、いろいろ紆余曲折あったらしい。しかし、そのおかげで吉田都さん、ロベルト・ボッレの「ロミオとジュリエット」を堪能できるなんていう幸運にも恵まれた。都さんは引退しているというものの、ちゃんとジュリエットしているというのが驚異的。ボッレはあまり見る機会がなかったのだけれども、改めて見てみると、で、…でかい…(都さんがお人形のように見える)そして、ばりばり肉食系ど迫力のロミオ(笑)しかし、踊り出すと、舞台中彼のオーラに包まれる。イケメンだし、大きいけど伸びやかで重くないし、素敵なんだけど、自信たっぷりのロミオ?(笑)ジュリーケントと踊った「椿姫」の方が彼のキャラクターかも?

 シムキンと言えば、少年のような童顔にしなやかなテクニックで有名。シムキンがロミオだったら、どうなんだろう?今回は、12の演目の中で彼は4つも踊るというサービスぶり。「Qi」という新作から始まり「海賊」のアリを踊り、「雨」というコンテンポラリーを踊り、最後に「レ・ブルジョワ」で締め、いろんな可能性を惜しげもなく見せてくれた。(「レ・ブルジョワ」だけは、踊るのに若すぎる…といった感が否めなかった。もちろん跳躍や回転技は超絶で、「これが完璧な振り付けなんだ!」と思い知ったが、もう少し大人な感じになったときに踊ってくれたら、渋くて哀しくてしゃれてていいだろうなと感じた。今のところ、バランキエビッチさんの「レ・ブルジョワ」が最高)

 「インテンシオ」。ブラッビッシモ!!!

 翌日BSで、宮田大さんというチェリストが小澤征爾さんによって自己を揺さぶられ続けていくドキュメントを見た。小澤さんの、そして大さんの、音楽を「下品」になる寸前まで表現していくという「心」に打たれた。「こいつは、いいやつなんだよ。でも、いい子すぎるから、若いのにおじいさんみたいに弾くんだよ。」小澤さんの言葉に目覚めていく大さん、25歳。

 シムキンも同じくらいの年代なんだろうか?この人もすごく「いいやつ」な気がする。彼の寸分の隙もない、端正な、しかも緩急に富んだのびやかな踊り、それだけでもう十分素敵なんだけれども、この後、どういう人との出会いを経てさらに進化していくのか、それを思うと、更に楽しみ053.gif
by bel-sogno | 2012-11-25 14:32

ずっこけ人生 カンターレ&マンジャー&アモーレ あと数年で定年を迎える中学校教員です。旅行が好きで、年中どこかに行きたいと心に翼が生えています。写真は念願かなって行けた沖縄のかの有名な斎場御嶽です。


by bel-sogno