カテゴリ:バレエ( 1 )

感謝

 「この席、見えにくいですわね。」
と、幕間にお隣の上品なご婦人が話しかけてきた。上野のホールの5列の1と2といういいのか悪いのか微妙な席だった。かぶりつきで舞台が見られるのは大歓迎だけれども、斜め右前に大柄な人が座ったが最後、肝心の舞台中央三分の一くらいが隠れてしまうのだ。そのおばさまは1の席で、また小柄な方だったので、よけい見えにくかったのかな…と、最初は思った。
 
 若返る気がするので、NBSの会員になってバレエを見に来るのだけど、もう80過ぎているので途中で疲れてしまうのよ。今日は見にくいこともあるし、もう帰るわ。あなた、こちらにずれて、ゆっくり見てくださいな。またご縁がありましたら、お会いしましょうね。

 そう言って、そのご婦人は立ち去った。

 彼女ももちろん舞台が見づらかったのだろうが、私がもぞもぞしているのを気遣ってくださっだのだとわかって、恥ずかしくなった。だって、彼女に声をかけられるまでの私の心は、うらめしさでいっぱいだったのだから。

 ベジャールバレエ団の「3人のソナタ」「火の鳥」「メフィストワルツ」「アリア」の公演での出来事だった。おかげで、どうしてこんなに美しい人がいるのだろうと毎回、目の保養をさせていただいているジュリアン・ファヴロー様(彼だけ「様」?だって、ギリシャ彫刻のような完璧さなんだもの…)も、妖艶なエリザベット・ロスも(彼女の動きは本当に年齢不詳…)そして、最後に舞台に登場した、今は芸術監督となっているジル・ロマンも、しっかり目に焼き付けることができた。

 「広い心」…むずかしいぞ、わたしには。012.gif

     写真は、横浜で
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ベジャール作品を見たときのもの。彼の遺品の一つ。
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by bel-sogno | 2010-11-14 12:59 | バレエ

ずっこけ人生 カンターレ&マンジャー&アモーレ あと数年で定年を迎える中学校教員です。旅行が好きで、年中どこかに行きたいと心に翼が生えています。写真は念願かなって行けた沖縄のかの有名な斎場御嶽です。


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